住宅改修とは?介護保険も利用して安全で住みよい環境を
住宅改修とは、住民が生活しやすいように住居へ手を加えて環境を整えることです。高齢者の方や介護が必要な方のためにおこなう場合、条件を満たしていれば介護保険の適用も可能です。
この記事では、住宅改修の詳細や介護保険の適用条件、住宅改修の対象になる項目などについて詳しくご紹介します。
住宅改修とは?条件を満たせば介護保険の適用も可能!
住宅改修とは、その家に住んでいる人がより暮らしやすくなるように必要な工事をおこない、安全で便利な生活環境を整えることです。
とくに高齢者の方や障がいを持つ方にとって、住宅改修は生活の質を向上させるために有効な選択肢になるでしょう。介護保険も利用できるため、費用の懸念点を減らせる一面もあります。
ここでは、住宅改修の詳しい内容や介護保険との関係について見てみましょう。
住宅改修の概要
住宅改修は、住環境を改善し、安全性を高めるための様々な工事を含みます。具体的な例としては以下のような工事が一般的です。
1:手すりの取り付け
階段や廊下、浴室などに手すりを設置することにより、移動時の転倒リスクを軽減します。
2:段差の解消
スロープの設置や段差をなくすための工事をおこない、車椅子や歩行補助具などを安全に使用できる環境を作ります。
3:床材の変更
床材を滑りにくい素材に変更することにより、転倒リスクを軽減し、移動時の安全性を高めます。
4:扉の交換
開き戸を引き戸や折り戸に変更し、移動をスムーズにしたり転倒リスクを軽減させたりする効果があります。
5:便器の交換
和式便器を洋式便器に変更することにより、トイレを利用する際の負担を減らします。
このような改修の数々は、高齢者の方や障がいを持つ方の自立した生活に欠かせません。住環境が大幅に改善され、より快適で安全な生活を送りやすくなります。
費用は介護保険の適用が可能
住宅改修にかかる費用は、条件を満たせば介護保険の適用対象になります。介護保険が適用されれば自己負担額を軽減できるようになるため、住宅改修を検討している方はぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
住宅改修の費用に介護保険が適用される場合、一定の上限があります。一般的には20万円までの改修費用が支給対象となり、そのうち自己負担額は1割(所得によっては2割または3割)です。
例えば、弊社で屋内の壁に手すり取付をする際、価格は約9,000円~となっていますが、介護保険を適用すれば約900~2,700円で収まります。
住宅改修と聞くと「何十万円もかかるのでは…」と考える方も多いかもしれませんが、介護保険を利用すれば経済的な負担の軽減が可能です。
介護保険が対象になる条件
介護保険が適用される住宅改修には、以下の条件があります。
・要支援1・2以上の認定を受けた方
・要介護1以上の認定を受けた方
・本人が居住している住宅のみが対象
対象になる範囲は比較的広く設定されており、多くの方が住宅改修で介護保険を利用できるでしょう。
改修工事は原則として本人が居住している住宅に対しておこなわれるものであるため、ほかの場所の改修を希望する場合や賃貸住宅の場合、事前に確認が必要になる場合があります。
たとえば賃貸住宅の場合、賃貸契約書の内容によっては改修が認められないケースもあります。賃貸物件で住宅改修を検討する際には、大家さんや管理会社と事前に十分な相談が必要になるでしょう。
このほか、住宅改修をおこなう際には、事前に市区町村の介護保険課に申請を行い、改修内容が介護保険の対象となるかどうかの確認を受けることも重要です。
申請が受理され、工事が完了した後に、支給申請を行うことで介護保険から費用の補助を受けられることになります。
この一連の流れは手間や時間がかかり、複雑に思える点もあるため、ケアマネジャーや行政窓口、施行を担当する工務店などに相談するとスムーズに進められるでしょう。
弊社でも介護保険の対象になるかどうかの確認や、申請のサポートなどを承っています。気になる方はお気軽にご相談ください。
住宅改修の対象になる項目
住宅改修では多くの項目が対象になっています。高齢者や障がいを持つ方の住環境をより安全で快適なものにするために、手すりの取り付けや扉の交換、段差の解消などさまざまな選択が可能です。
ここでは、住宅改修の具体的な対象項目について詳しく見ていきましょう。
手すり取付
手すりの取付は、住宅改修の中でも注目される重要な項目です。高齢者の方や障がいを持つ方が安全に移動できるようにするために、階段や廊下、浴室などに手すりを設置します。
たとえば、階段では転倒防止のために手すりを取り付けることが多く、階段の上り下りの安全性を高めます。
また、廊下や玄関の段差がある部分に手すりを設置することで、歩行時の安定性が向上し、転倒リスクを軽減できるでしょう。
浴室では、床面で足を滑らせることによる転倒を防ぐため、浴槽の出入り口やシャワーの横、出入り口などに手すりを取り付けると安全性が高くなります。
なお、手すりの設置にともない、壁の下地補強もおこなうことがありますが、この工事も介護保険の対象に含まれます。
扉交換
扉の交換も住宅改修の対象です。
たとえば、開き戸から引き戸・折り戸などに交換することにより、転倒リスクを減らす・移動がスムーズになるなどのメリットが生まれます。ドアノブの変更や戸車の設置もよいでしょう。
引き戸への変更は、とくに車椅子使用者にとって有効です。開き戸ではスペースを取られがちですが、引き戸ならばスムーズな通行が可能になるでしょう。
ドアノブの変更であれば、握力が弱い方でも簡単に開閉できるレバーハンドルやプッシュタイプのノブに取り替えることで、使い勝手や安全性の向上が期待できます。戸車を設置すれば、ご本人にとっては重い扉でも負担を軽減しながら開閉できるようになるでしょう。
扉を取り替えるために必要な壁や柱の改修工事も介護保険の対象になります。
段差の解消
段差の解消も住宅改修の対象になり、「スロープの設置や敷居を低くすること」「浴室の床を高くすること」などが含まれます。
たとえば、玄関や室内の段差をスロープで解消することにより、車椅子を利用していても自力での移動や介護時の操作での負担が軽減されるでしょう。
敷居を低くすれば廊下から部屋などへの移動がスムーズになり、つまずきによる転倒リスクが減少します。
浴室の床を高くして浴槽との段差を低くすれば、出入りがスムーズになり、安全性も高くなります。また、床材に滑りにくい素材を使用すれば安全性はさらに高くなるでしょう。
また、浴室の床の段差を解消するために、給排水設備の工事も必要になることがありますが、こちらも介護保険の対象になっているため、費用面の負担を軽減させられます。
移動の円滑化・滑りの防止
床材の変更も住宅改修の項目です。具体的には移動を円滑にし、滑りを防止するために、滑りにくい素材の床材に変更することが該当します。
高齢者の方や障がいを持つ方にとって、滑りにくい床材は安全性を高めるために大切な役割を果たします。
たとえば、フローリングを滑りにくいビニールタイルやクッションフロアに変更することで、転倒リスクを大幅に軽減させられるでしょう。
とくに浴室や台所など水濡れが発生しやすい場所では、防水性と滑り止め機能を備えた床材を選ぶことによって危険を回避しやすくなります。
さらに、下地の補修や根太の補強を行うことで、床全体の安定性が向上し、使用者が安心して生活できる環境を整えます。下地の補修や根太の補強も介護保険の対象です。
便器の交換
便器の交換も住宅改修の対象です。この場合、和式から洋式への変更が一般的です。
和式便器は膝や腰に負担がかかり、しゃがむ・立つなどの動きも必要になるため、高齢者の方や障がいを持つ方にとっては使用が難しいことがあります。
一方、洋式便器は座った状態で使用できるため、そのような負担の軽減が可能です。変更することによってトイレの利用が安全かつ快適になり、生活の質が向上するでしょう。より安全性を高められる、手すりの設置もおすすめです。
便器を取り替えるためには給排水設置工事や床材の変更がおこなわれることもあります。このような工事でも介護保険が利用できます。
ただし、水洗化や簡易水洗化に関わる工事は除外されるため、ご自宅が適用されるかどうかは事前に確認しておきましょう。
住宅改修で介護保険を利用する際の注意
住宅改修では介護保険が広い範囲で利用できますが、利用時にはいくつか注意が必要です。支給限度額や利用回数の上限などについて見てみましょう。
<h3>住宅改修の支給限度額は20万円</h3>
住宅改修で介護保険を利用する場合、支給限度額は1人当たり20万円です。改修費用が20万円を超えた場合は超過分の費用を自己負担します。
改修の項目や内容によっては費用の全額をカバーできないかもしれませんが、経済的な負担の軽減に役立つことは確かでしょう。また、改修項目の数によっては20万円で足りるケースもあるため、改修工事の見積もりなどで確認してみてください。
利用回数の上限は1人1回
住宅改修における介護保険の利用は基本的には1人1回のみとされています。しかし例外として、20万円の限度額以内であれば、複数回に分けた利用も可能です。
たとえば、最初に10万円の改修を行い、その後、残りの10万円を使って追加の改修をするといった使い方でも問題ありません。
【例外】2回目以降の住宅改修が認められるケース
住宅改修における介護保険の利用は基本的に1人1回ですが、いくつかの例外があります。以下のような例外ケースに該当する場合、2回目以降の住宅改修が認められる可能性があるため、ケアマネジャーや行政窓口などに相談してみてください。
1:同じ住宅に住む家族が新たに要介護認定を受けた場合
たとえば、家族の一人が介護保険を利用して住宅改修を行った後、同じ住宅に住む別の家族が新たに要介護認定を受けたとします。
この場合、あとから要介護認定を受けた家族も住宅改修で介護保険の利用が可能です。同じ住宅でもより多くの箇所を改修したり、以前の改修場所を補強したりなどの工事ができるようになります。
2:要介護度が3段階以上重くなった場合
すでに介護保険を利用して住宅改修をおこなった場合でも、その後、対象者の要介護度が3段階以上重くなった場合には、再度の改修が認められています。
たとえば、要介護1から要介護4に変わった場合、必要となる改修内容が大幅に増えることが予想されるでしょう。このような状況であれば、介護保険の支給を受けて再度必要な改修が可能です。
3:引っ越し先でのバリアフリー化が必要な場合
引っ越しを行った場合、引っ越し先でのバリアフリー化が必要であれば、再度住宅改修において介護保険が利用できます。
「新しい住まいで安全に生活するためには改修が欠かせない」と判断した場合、ぜひケアマネジャーや行政窓口などに連絡してみてください。
このような例外のケースでは、介護保険の申請を再度おこなう必要があります。事前にケアマネジャーや行政窓口に相談し、必要な手続きを必ず確認しましょう。
【注意】申請手順を必ず守るべき理由
「先に改修工事をしたのでこれから介護保険の手続きを…」というケースは絶対に避けるようにしてください。このような場合、介護保険が適用されず、全額自己負担になってしまう可能性があります。
改修工事で介護保険を利用する場合、一般的には以下の流れになります。
1:要介護・要支援認定
2:ケアマネジャーとの打ち合わせ
3:住宅改修事業者との打ち合わせ
4:見積もりや図面の確認
5:介護保険の支給申請
6:自治体の認定、決定通知書の送付
7:着工・完成
8:住宅改修事業者への支払い
9:保険給付金の請求書を自治体へ送付
10:保険給付金の支給
介護保険で保険給付金を受け取るためには、着工前に介護保険の支給申請が必要です。この段階を踏まずに住宅改修をしても保険給付金は支給されないため、必ずケアマネジャーに相談し、所定の手続きで進めましょう。
介護保険を上手に利用して住宅改修を進めよう
住宅改修は住み慣れた住宅を改修し、高齢者の方や介護が必要な方、障がいを持つ方などがより安全で快適に暮らす環境を作り出す方法です。
手すり取付や扉交換をはじめ、数々の項目をバリアフリー化することにより、日常にひそむ危険を遠ざけやすくなるでしょう。
介護保険が適用される項目が多いため、費用の負担も軽減できます。申請手続きや利用の流れなどが分かりにくい場合は、ケアマネジャーや自治体の窓口に相談してみてください。
弊社・バリアフリー相談室では住宅改修に力を入れています。改修工事やそれにともなう介護保険の利用手続きのサポートなど、幅広くご相談いただけるため、興味のある方はぜひ一度ご連絡ください。
バリアフリー相談室
住所:東京都足立区佐野 2-16-7
電話番号:03-6686-5144
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