浴室を介護リフォームで安全に!メリットや費用相場について解説【浴室リフォームおすすめ バリアフリー相談室】
高齢者が安全な暮らしを楽しむためにはさまざまなリフォームが役立ちますが、浴室のリフォームもそのひとつです。
一般的な浴室を高齢者が利用し続けると思わぬ危険に直面することがあり、転倒や怪我などのリスクが高まります。そのようなリスクを軽減するためにもリフォームを積極的に検討してみませんか。
この記事では、浴室を介護リフォームするメリットや具体的なリフォーム内容、費用や補助制度などについて詳しく解説します。
浴室を介護リフォームするメリット
「今まで通りの浴室でも、サポートがあれば安全に入れるし…」と考えているかもしれません。
しかし、浴室の介護リフォームは、介護される側と介護する側の双方にとってメリットがあります。ここでは代表的なメリットを紹介します。
安全性の向上
年齢を重ね、身体機能がおとろえると、浴室は若い頃には想像もしなかったような危険がひそむ場所になります。
とくに濡れた床で足を滑らせて転倒することや、転倒によって浴槽で溺れてしまうことなどは「そんな事故はそうそう起きないよ」と言い切れるものではありません。
転倒によって怪我をした場合、高齢者は回復まで長い時間が必要になります。それどころか時間がかかっても回復しないケースもあり、残念なことに転倒をきっかけにして寝たきりになってしまう人もいないわけではありません。
介護リフォームによって安全性を高め、転倒や溺れるリスクを軽減させることにより、健康で生活の質を保った暮らしを維持しやすくなります。
快適性の改善
リフォームすればいままでの浴室よりもきれいになり、雰囲気も明るくなります。長年慣れ親しんだ浴室と大きく変わり、戸惑う時期もあるかもしれませんが、慣れれば快適なバスタイムが楽しめるようになるでしょう。
高齢になると体力や筋力の低下で動くことが億劫になり、「今日はお風呂はやめておこう」など、入浴に対して後ろ向きになってしまうこともあります。
しかし、入浴は身体を清潔に保つ効果やリフレッシュ効果があるため、できれば小まめに入ってほしいものです。週の入浴回数が多い高齢者ほど介護認定が少ないというデータもあります。
快適なバスタイムが楽しめる環境を整え、積極的にお風呂に入り、心身の健康を維持した生活を保ちましょう。
要介護者の自立支援
安全で安心して利用できる浴室は、本人にとって使いやすい浴室ということでもあります。使いにくい浴室では必要だった介護も、リフォーム後は一人で使えるようになるかもしれません。
「他人のサポートを必要としなくてもお風呂に入れる」という事実はご本人にとって自信になり、自立した生活を続ける原動力になるでしょう。
介護者の負担軽減
要介護者や少し足元が不安な高齢者の入浴をサポートする人にとっても、浴室の介護リフォームはメリットがあります。
身体を支えるときや移動のとき、滑りやすい足元では介護する側が転倒してしまう危険も考えられるでしょう。また、開き戸を開閉する際にスペースが必要になり、窮屈で介護しにくいと感じることもあります。
介護リフォームでそのような問題点を解消できれば、要介護者だけではなく、介護者にとっても安全で快適なバスタイムになるでしょう。
浴室の具体的なリフォーム内容と費用
高齢者にとって安全で使いやすい浴室の介護リフォームは、具体的にどのようなことをするのでしょうか。
ここでは段差解消や手すりの設置、扉・浴槽・床材の交換など、介護リフォームの具体的な内容や費用について説明します。
段差解消
浴室の入口には段差があることが多く、足元を取られて転倒の原因になる可能性があります。
前述の通り、高齢者の転倒はその後の生活に大きな悪影響が出てしまうこともあるため、段差解消でできる限り避ける必要があるでしょう。
段差解消の費用は一般的に約5~28万円と幅があり、施工内容によって異なります。ただし段差解消のためのリフォームは介護保険の対象になるため、実質的な負担は約1~2割ほどで済むでしょう。
手すりの設置
手すりの設置も重要です。浴室へ出入りするときや浴槽に入るときの転倒防止や、立つ・座るなどの動作をするときの負担軽減など、お風呂に入る際の動作のほぼすべてに関わると言っても過言ではありません。
手すり設置の費用相場は約5,000円~5万円です。こちらも介護保険の対象になるリフォーム内容のため、約1~2割の負担になります。
扉の交換
前後に動かして開閉する開き戸の場合、開閉の際に身体を支えきれずに転倒する恐れがあります。
また、万一浴室で倒れてしまったとき、助けだそうにも扉にご本人が寄りかかっていたり、倒れている身体に引っかかってしまったりして開けないことになる可能性があります。
開き戸から左右に動かして開閉する引き戸にリフォームすれば、その心配を軽減することができるでしょう。
費用は約7万円~15万円です。介護保険の対象になり、約1~2割の負担に納まります。
浴槽交換
浴槽に高さがあると、高く脚を上げてまたがなければお風呂に入れません。この動作は足腰がおとろえた高齢者にとって危険が高く、転倒や溺水のリスクがあります。
介護リフォームで高さを抑えた介護向きの浴槽にすることにより、安全性が高まり、浴槽に入るときにご本人も安心できるでしょう。「浴槽が高くて怖いからシャワーだけに…」ということもなくなり、存分にバスタイムが楽しめます。
浴槽の交換費用は約10~55万円が相場です。こちらも介護保険の適用が受けられるため、実質負担は約1~2割になります。
床材交換
濡れた床はご本人や介護者の転倒リスクを上げる要因です。濡れても水を弾きやすい床材や、万が一転倒してもダメージを軽減できるクッション性の高い床材に交換すればリスクを回避しやすくなります。
床材の種類はメーカーによってさまざまなタイプがあるため、用途や価格などと相談しながら選択するとよいでしょう。
床材の交換費用は床材の種類にもよりますが、約4~20万円が相場です。介護保険の対象になり、実質負担は約1~2割になります。
浴室暖房機の設置(介護保険対象外)
介護保険の対象外になりますが、浴室暖房機の設置もおすすめのリフォーム項目です。ヒートショックの予防に役立ちます。
昨今注目を集め、懸念されるヒートショックは、暖かい場所から寒い場所へ移動した際に起こることが多い症状です。入浴準備のため寒い場所で衣類を脱いだとき、極端な温度差でヒートショックに襲われる可能性は否定できません。
暖かいリビングなどから脱衣所や浴室へ移動して入浴する際、浴室暖房機で温められていればその可能性を軽減できるようになります。
浴室リフォームで介護保険を利用するための条件は?
浴室の介護リフォームでは、前述の通り介護保険が利用できる項目が多数あります。
・段差解消
・手すりの設置
・扉の交換
・浴槽交換
・床材交換
この項目に関しては、介護保険の「居宅介護住宅改修費」が受給可能です。上限20万円まで支給されます。被保険者の普段が大幅に減り、約1~2割で済むため、費用面の悩みの多くを解消しやすくなるでしょう。
ただし、居宅介護住宅改修費の受給にはいくつかの条件があります。条件を満たさなければ利用できないため、ご自分やご家族が条件を満たしているかどうかを確認した上でリフォーム計画を進めてください。
次の項から居宅介護住宅改修費の受給資格について紹介します。
要支援・要介護認定を受けている
居宅介護住宅改修費は要支援1~2・要介護1~5の認定を受けた65歳以上の高齢者か、または介護が必要になった特定疾病患者が利用できます。
安全に生活しやすい環境にするためのリフォームで、居宅介護住宅改修費の対象になる工事であれば、上限を20万円とし、ご本人の負担割合である1~2割を除いた金額が支給されます。
負担割合の1~2割は前年度の所得によって決定されるため、居宅介護住宅改修費の利用を考える際には所得関連を確認しておくとスムーズに進められるでしょう。
基本的に、居宅介護住宅改修費の利用は1人1回(20万円を超えなければ複数回に分けて利用可能)に限定されています。
ただし住宅に対しての回数制限ではなく、人に対する制限になるため、同じ住宅の工事に居宅介護住宅改修費の回数制限はありません。
たとえば夫の介護リフォームで居宅介護住宅改修費を使ったのち、妻の介護が必要になったと仮定しましょう。妻のために必要な介護リフォームを同じ住宅に追加したい場合、今度は妻の介護保険から居宅介護住宅改修費を受け取ることができます。
介護保険の被保険者が対象住宅に居住している
居宅介護住宅改修費の適用は「介護保険の被保険者の居住」が重要な条件になります。「ケアハウスや病院から一時帰宅する人のためにリフォームしたい」という場合は、通常の居住が確認できないため居宅介護住宅改修費が使えません。
ただし、ケアハウスや病院からの退所・退院が決まっており、かつ、今後居住する予定の家であれば、工事の時点でご本人が居住していなくても居宅介護住宅改修費が認められます。
なかには「家族が入居しているケアハウスのお風呂場に不安がある、リフォームしたい」と考える人もいるかもしれません。この場合、ケアハウスに要望を伝えることは問題ありませんが、ご本人の居宅介護住宅改修費を使ったリフォームは不可能です。
居宅介護住宅改修費はあくまで個人(ご本人)の住居に限られており、それ以外の場所では利用できません。
ケアマネジャーを通した申請が必要
居宅介護住宅改修費を利用した介護リフォームをする際には、工務店に依頼する前にケアマネジャーへ連絡する必要があります。
ケアマネジャーを通さずに介護リフォームをおこなった場合、居宅介護住宅改修費を受給することができず、全額自己負担になるためです。
また、ケアマネジャーはご本人の身体状態や生活の様子、ご家族のご希望などをふまえた上で回収内容のアドバイスをし、より適切な介護リフォームをする知識を持っています。
「少しでも早く安全な住宅にリフォームしたい」と考える気持ちがあるかもしれませんが、適切な介護リフォームをするためにも、まずはケアマネジャーに必ず連絡しましょう。
介護保険以外にも補助制度を使えることがある
リフォームは介護保険の居宅介護住宅改修費以外にも、公的な補助制度が適用されるケースがあります。自治体の補助金制度や長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金です。
どちらも適用には条件があるため、必ずしも利用できるとは限りませんが、必要であれば調べてみるのもおすすめです。
自治体の補助金制度
自治体によっては、バリアフリーかのリフォームに補助金を設けていることがあります。
自治体ごとに適用条件が異なるため事前の確認が必要ですが、浴室のバリアフリー化を考えているのであれば、お住まいの自治体で対象になっているかどうかをぜひ調べてみてください。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業では、「浴室のみ」のリフォームで補助金を受給することはできません。しかし、「住宅全体をリフォームし、その中に浴室も入っている」という場合には適用される可能性が高くなります。
適用の決定は専門家による住宅チェックが必要になり、介護保険とは違うプロセスが発生しますが、家全体のリフォームを視野に入れているのであれば、利用を検討してみる価値はあるでしょう。
どの補助金が使えるか迷ったら?
浴室の介護リフォームの際、介護保険はもちろん、自治体の補助金制度や長期優良住宅化リフォーム推進事業など、「どの制度を使えばよいのか」と悩んでしまうかもしれません。
その際はケアマネジャーやリフォームを請け負う工務店などに相談してみてください。ご本人の状態やご家族、住宅の事情などを考えながら適切な提案をするでしょう。
介護保険を利用する場合、工務店によっては申請関連の手続きについてアドバイスしたり、代行したりするサービスを提供していることもあります。そのようなサービスも活用し、ご本人もご家族も安心して使える浴室リフォームを進めていきましょう。
浴室リフォームで安心・安全のバスタイムを
浴室の段差解消や手すりの設置をはじめ、高齢者が安心して使える浴室にするためには多くの対策が必要です。
「何からすればよいのか」と迷ったり、費用面での心配があったりする場合には、ケアマネジャーやリフォームを請け負う工務店へ相談してみてください。
バリアフリー相談室では多くの方々が安心して生活できるよう、さまざまなサービスを提供しています。手すりの取付や浴槽交換、扉交換など、バリアフリー化でお悩みの方はぜひご相談ください。
バリアフリー相談室
住所:東京都足立区佐野 2-16-7
電話番号:03-6686-5144
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